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第138回 古生物を現代につれてきたらこういうかんじ。

「リアルサイズ 古生物図鑑 古生代編(古生物のサイズが実感できる!)」 技術評論社 2018年8月発行 207ページ
土屋健/著者 群馬県立自然史博物館/監修

今から6億2000万年~約2億5100万年前に発生した生き物たちの実際のサイズがわかる図鑑です。
現代にあるもの(犬、座布団、イカ、サーフボード、2階建てバス、マグロなど)と並べて復元された古生物が掲載されるので、実際の大きさがとてもわかりやすく楽しく読めるようになっています。
エディアカラ紀、カンブリア紀、オルドビス紀、シルル紀、デボン紀、石灰紀、ペルム紀にわけて古い時代から新しい時代の生物を紹介していきます。だんだんと進化していくのが目に見えるのも楽しい。

生物の誕生から数十億年は顕微鏡でようやく見えるという微小のサイズでほそぼそと進化してきましたが、先カンブリア時代末期のエディアカラ紀(6億2000万年前)になると、突如からだが大型化していくのだそうです。ようやく人の目に見える大きさになった華々しい時代なのです。この時代の多くは手の平ほどのサイズですが、例外的な大型種も存在しました。

さて、あまりむつかしいことは言わないでおきましょう。ぜひページをめくってください。生物たちと並べられる現代の品はいろいろで、著者のセンスが光ります。それぞれの古生物とともにつけられた文章も、ややマニアックながらも冗談がきいておもしろい。
イカの天日干しとともに干された「ランゲオモルフ」、歯ブラシの上の「アイシェアイア」、朝顔の双葉の上の「ハルキゲニア・スパルサ」など。
エディアカラ紀・カンブリア紀はやや小型(手のひらぐらい)なものが多いせいか、食べ物と並べられることが多いようです。現代からみると奇妙、と感じる生物たちなものですから、珍味ナマコみたいな感じで、食べられなくはなさそうですが口にいれるのはちょっと
ためらってしまいますねえ。
面白いのは、サバとともに氷につけられた「アノマロカリス」。どうやって食べるんでしょう。ていうかおいしいのだろうか・・。なかなか希少なのでしょう、時価という値札がつけられているのもなんだかおかしくて笑ってしまいます。

不思議なかたちをした生き物がおおいです。過ぎ去ったはるか遠いむかし、彼らは生きていた。どういう理由でこういう体の構造になったのか、なんて考えると楽しいですね。
よろしければお手にとってみてください。
「リアルサイズ古生物図鑑 中生代編」「新生代編」もございます。