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第28回 いつの間にか時間のたつ絵本

「あいうえおの本」 福音館書店 1976年
安野光雅/イラスト

安野光雅さんには、絵本書籍の挿し絵、ヨーロッパ・アジア等の風景画集、算数・数学をわかりやすく説明した絵本、書籍のデザイン装丁、などなどたくさん作品があります。
今回は、書き込まれたページが美しくひねりのある楽しい絵本を選書してみました。左側には、木で作った「あいうえお」が一文字ずつ描かれ、右側にはその平仮名が頭文字になる生き物や植物、ものなどの絵が書かれています。そのまわりには植物のフレームで囲まれてあり、その植物の頭文字も同じ平仮名なのです。この平仮名の挿絵にもだまし絵のような工夫が凝らされています。みっしり描きこまれた挿絵でじっくり1ページを眺めているといつのまにやら時間がたっているのです。
福音館・1974年発行「ABCの本」アルファベット版です。こちらもおもしろいです。挿絵の名前も英語なので、あいうえおのほうをおすすめしました。

 他の作品に・・ 画集、数学や言葉に関する本などたくさんたくさん出版されていて名前を上げるのが難しいのですがあえて書くなら・・
「はじめてであうすうがくの本シリーズ」福音館のかがくのともをもとにしたものが多いようです。絵で説明され大変わかりやすい。
「美しい数学 シリーズ」”はじめてであうすうがくの本”よりかなり難しさがレベルアップしたシリーズ。大人でも混乱します。
「天動説の絵本」むかしのひとは、地面ではなく天が動いているとおもっていた・・。自分たちが”ちきゅう”というものにのっかっていることに気がつく絵本。
「旅の絵本」中部ヨーロッパからはじまってイタリア、イギリス、アメリカ、スペイン、デンマーク、中国、日本・・これもみっしり風景や人々が描きこまれた名作シリーズ。絵本・絵画・文学などの一場面がこっそりまぎれています。風景の美しさを堪能するのはもちろん、いろいろ見つけて楽しめる。9巻まで発行されてます(2019年6月現在)。