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第199回 垣根をこえて、なかよくなりたい。

「ぽぉ ぽぉ ぽぉ ってどんないみ?」 シリーズこんな子きらいかな?5
岩崎書店 2021年2月発行 32ページ
しん よんひ/作・絵

りすのリスンくんとうさぎのウサトくんのものがたりです。ちょいとふしぎなタイトルだったので手に取りました。作者のしんよんひさんは、韓国ソウル出身です。秋田県で3年間国際交流業務に従事されたり、絵本ワークショップに参加されたのち、現在埼玉県在住、日々絵本制作に励んでおられます。

ウサトくんのクラスへ転校してきたリスンくん。うさぎのウサトくんとリスのリスンくんは話す言葉が違うため、意思を通じ合わせることが難しいふたりなのです。
「あしたは おはなし できるかな・・・・・・?」
リスンくんといっしょに遊びたいウサトくん、垣根をこえて仲良くなりたいのです。歩み寄るウサトくん、えらいねぇ。

私も幼稚園・小学生の時に引っ越しした経験がありますので、リスンくんの心細い気持ちがわかります。作者のしんよんひさんも韓国と日本という2つの国の間で悩むことがあったのではないでしょうか。

ある時、リスンくんはウサギの子供たちに枝でつつかれたり、ボールをあてられたりします・・・なんででしょう?リスンくんは、ふるえながら小さな声で「ぽぉ」と言います。ウサギの子供たちもリスンくんと遊びたいけれど、うまく表現できずぎこちなさがででしまったようですね。転校生のことを知りたい・仲良くなりたい・興味があるのに気恥ずかしくってうまく伝えられないというのも、ちょっとわかるような気がします。

『「ぽぉ」って なんて いみなんだろう?』
リスンくんの言う「ぽぉ」にはいろんな意味がふくまれているようです。かなしい時、うれしい時、こわい時、たのしい時。
ご両親の仕事の都合でリスンくんはふたたび引っ越しすることになります。

『そして、そっと いいました。
 「ぽぉ ぽぉ ぽぉ」
 それは、
 「ありがとう」って いみでしょうか。
 「さようなら」って いみでしょうか。
 それとも・・・・・・」』

言葉や文化の垣根をこえて、なかよくなるふたりにやさしさと希望を感じます。
淡い青系の色合いのかわいいイラストです。また、見返しに「リスンくんたちのことば」「ウサトくんたちのことば」の文字表イラストがのっており、ながめるだけでも楽しいです。

「シリーズこんな子きらいかな?」は、ほかにも5冊あり、それぞれ興味深いタイトルです。「いじわるちゃん」「ごろうのおみせ」「やましたくんはしゃべらない」「みどりのあらし」「しんゆうだけどだいきらい」