に投稿

第24回 晩ごはん拝見。

「きょうのごはん」 偕成社 2012年9月発行
加藤休ミ/著

くいしんぼうなのでたべもの絵本が大好きです。表紙のおいしそうに焼けたサンマに惹かれ手にとった一冊。これがまたおいしそうで、あぶらののった香ばしいにおいがしてきそうなリアル挿絵なのです。
猫が町を歩いていく。こちらの晩御飯はなあに?といろんなお家をのぞき込んでいく。(なんかの晩ごはん時に人んちへ強引に入り込むテレビ番組をおもいだしますね)カリッと揚がったコロッケがうまそうなのだ! 他にも、家族みんなで作ったカレー、お父さんが作ったオムライス、お祝いの豪華な出前だったりと、みなさま様々なご飯の時間を過ごしていておいしそうで幸せそうなのがとてもよい読み心地。今日のご飯は何かなあと食欲のわく絵本です。
加藤休ミさんは、”北海道出身。クレヨンとクレパスを用いた画法で、ノスタルジックな情景や滑稽味のある人物、リアルな食べ物の絵を得意とする”作家さんだそうです。
「クレヨンで描いたおいしい魚図鑑」さかなサカナ魚!魚のお料理図鑑です。たまらなくおいしそうです。



に投稿

第6回 スウェーデン発、ストレンジワールド行き。

「セーラーとペッカ、町へいく」(セーラーとペッカシリーズ1) 偕成社 2007年 スウェーデン
ヨックム・ノードストリューム/イラスト 菱木晃子/訳

このところ北欧ミステリを読んでいます。絵本も北欧モノを、と探していて発見した本です。スウェーデンの絵本です。あまりに不思議な読後感だったものですから、ご紹介したくなりました。

登場人物、「セーラー」は元船乗りの男、「ペッカ」は服を着て後ろ足と前足に靴をはいてる犬、なんです。
朝起きるとセーターが見つからなかったセーラーは町へ買いに出かけます。上半身は裸サスペンダー、といういでたち(寒くないの?!)。髪がのびたから散髪したい(犬が散髪?)というペッカとともに車に乗って出発したのですが、車から煙がでて動かなくなります(いきなり故障?!)。ラッパをなくしてピエロが泣いている(スティーブン・キングの「イット」思い出すわ)のに出会います。歩いてやってきた町には人間もいますが、うさぎ(これが?)のご夫婦ですとか なんともつかない不思議な造形の生き物たちもたくさんいます。いろいろな服を試着し、無事セーターを購入したセーラー(服屋のおねいさんがなかなか商売がお上手)。目的達成したセーラーはついでにタトゥー(絵本で刺青する主人公は初めてみたかも)をいれにいきます。最後に町で車の修理屋さんに修理依頼して家へ帰ります。ちなみにピエロのラッパは猿が勝手に持っていっていたのでした。

ざっとあったことを書くとこんな感じの絵本です。あるスウェーデン人の一日を描写した、という感じでさほど起伏にとんだお話ではないし、かなり独特な挿絵なので、こどもはこの絵本を読んで楽しめるのだろうか、スウェーデンらしさなのか、文化の違いなのか、絵本とはなんだろうか、と少し悩みます。作者のノードストリュームさんの本職は「現代美術家」であるそう。ははぁー、なるほどね〜。
いや、楽しい絵本なのですよ、ほんとほんと。嘘じゃないですって。なんというか、癖になると言うか。うーん、きっといろいろツッコミを入れて楽しむ絵本なのでしょう。
2作目の「いったいどうした?セーラーとペッカ」では、病気になったセーラーのため、犬のペッカがお薬を買いに町へいきます。セーラーは熱にうなされ悪夢を見るのですが、そのシーンが・・不思議というかコワい。シリーズ通して不思議絵本です。スウェーデンの日常を、怖いもの見たさでどうぞお試しください(ニヤリ)。と、おそらくそういう本なのだとおもいます、多分きっと。皆様もこの不思議さを味わいませんか。さあさあ、セラペカワールドへご一緒に・・・・・・・

セーラーとペッカは、全5冊のシリーズです。「セーラーとペッカの日曜日」「セーラーとペッカの運だめし」「セーラーとペッカは似た者どうし」



に投稿

第2回 わたしの大好きなどろぼうさん

今回は、児童文学をピックアップしてみました。
ホームズよりルパンが好きなのは、子供の頃の愛読書がコレだったからとおもいます。

「大どろぼう ホッツェンプロッツ」  1966年
「大どろぼう ホッツェンプロッツ ふたたびあらわる」 1970年
「大どろぼう ホッツェンプロッツ 三たびあらわる」 1975年
偕成社  オトフリート・プロイスラー/著  中村浩三/訳  フランツ・ヨーゼフ・トリップ/挿絵

 全三巻のシリーズです。
新聞を騒がさぬ日はないという、大どろぼう ホッツェンプロッツ。
おばあさんのコーヒーひきを奪ったどろぼうを捕まえるべく、カスパールとゼッペルという少年二人が頑張るおはなし。(大どろぼうと名乗っているわりに、庶民的な物を盗みますよね。)ホッツェンプロッツの友人・大魔法使いツワッケルマンも登場。これもまた悪どい人で、ワクワクします。カスパールとゼッペルは、コーヒーひきをとりかえせるか?
第2巻は、脱獄したホッツェンプロッツをカスパールとゼッペルがおいかけます。おばあさんもとらえられてしまったり!します。ずる賢いおおどろぼうに知恵を絞ってわたりあう少年たち。さあどうするどうする。

 最終巻の「大どろぼうホッツェンプロッツ 三たびあらわる」では、
1・2巻で悪事を働いたホッツェンプロッツが、どろぼうを廃業するという、驚きの始まりです。今までががっつり大暴れしてきたものだから、どろぼう稼業をやめたいと思ってるのに信じてもらえないホッツェンプロッツですが、あるものを盗んだと疑いをかけられて・・。やっぱりびっくりすることに、カスパールとゼッペルがホッツェンプロッツの無実の証明に協力するんです。すごい展開ですよね~。
3巻の最後に挿絵がはさまれるのですが、この挿絵がすごくいいんですよ〜。(このイラストのある版とない版があるようです。)
第3巻のホッツェンプロッツの憎めなさがほんと大好き。1巻だけでなく、ぜひとも3巻まで読んでいただきたい。わたしのだいすきなどろぼうさん♡

 少女だったわたくしには日本とは違う、ドイツの風習や言い回し、フランツ・ヨーゼフ・トリップの独特な濃ゆ〜いイラストがとっても魅力的でした。1巻では、挿絵とともに(おそらく)作者のツッコミもはいっていて、これまたすごく楽しいんですよ。
そしてなんと言っても、食べ物! プラムケーキ、じゃがいものからあげ、ザウアークラウトとソーセージ、にんにくたっぷりキノコ料理、ハタンキュウのブランデー、アッペルシュトルーデル、山盛りのチョコレートドーナツ、シュトロイゼルクーヘンなど、馴染みのないドイツのお料理がおいしそうでたまりませんでした。「生クリームをたっぷりかけたプラムケーキ」ってどんなものだろう、少年たちが毎日食べたがるのだから、よほどのものだろう(ゴクリ)・・と思ったものです。

 小学低学年あたりから楽しめるシリーズと思います。とても面白いシリーズです。プロイスラー氏は ドイツの作家、1923年生まれ。わたしがドイツに興味を持つきっかけとなった物語なのでした。いつか行ってみたい国のひとつです。

プロイスラーの他作品に・・・
「小さい水の精」「小さいおばけ」「クラバート(魔法使いとその弟子のお話/長編)」「ユニコーン伝説(ゲンナージ・スピーリンの挿し絵がとてもとても美しい)」など、昔話・民話を題材にしたお話などたくさんかいておられます。