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第16回 好き嫌いの克服

「やきざかなののろい」 32p ポプラ社 2014年11月
塚本やすし/作・絵

ぼくは、やきざかなが きらいです。
骨があって食べにくくて、にがいから。
食べずにいたら、やきざかなの骨に、きちんと食べてくれ〜食べてくれ〜と付きまとわれました。
やきざかなののろいです。とってもしつこいです。
すると!そこに!
ラストは、言わずにおきます。
少しだけ申し上げますと、ノラ猫がでてきます。この猫が目つき鋭く、野性味あってかっこいいです。

嫌いな食べ物を克服できるっていいですよね。
私の苦手な食べ物は、納豆です。納豆の呪いだと、どんな目にあうんでしょうか。



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第14回 あたまにつまった意志

「あたまにつまった石ころが」  光村教育図書
キャロル・オーティス・ハースト/作  ジェイムズ・スティーブンソン/絵  千葉茂樹/訳

石が大好きだった作者のお父さんのお話だそうです。石ころ集めに夢中だったので、ポケットの中だけではなく、頭にも石が詰まっていると言われた作者のお父さん。世界恐慌で経済が停滞、大変に苦しい生活であったようですが、ただただひたむきに鉱石について勉強し、コツコツ集め、情熱を傾けました。
「石が好きだなんて、頭に石がつまっている(馬鹿げている)」と、言われることもありました。厳しい生活の中、その情熱が揺らぐこともきっとあったでしょう。それでも好きなものを好きでいた、その心の強さを尊敬します。努力が実を結んだことにホッとします。きれいな石たちの挿絵も素敵です。良い絵本です。これを読んでぐっとくる年齢は、やや高めでしょうかね。大人におすすめしたい一冊です



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第11回 こわいほん

関係ないんですけどわたし結構怪談が好きなんですよね。で、今回ご紹介したい絵本なのですが、怖い絵本は数あれど、ずば抜けて怖い絵本と言えば、コレ。トラウマ絵本の代表(といわれています)「ねないこだれだ」をご紹介いたします。

「ねないこだれだ (いやだいやだの絵本)」 福音館書店 1969年
せなけいこ/作・絵

 早く寝ない子は、オバケにさらわれちゃうのです。おばけと一緒に空を飛んでいくのです。オドシでなく、マジでつれていかれてしまうのです。
そんな絵本です。

表紙の挿絵は、典型的なおばけの造形ですが、なんやら狂気を宿した黄色い目が恐怖をあおります。オバケにさらわれた子はどこへ行くんでしょうか。普段は行けないような不思議なところでしょうか。想像もできないほど怖いところなんでしょうか。そんなオバケの世界へ引き込まれてしまうかもしれない危うさに、ぞくぞくします。こどもはまじでおそろしい、と感じると思います。実体験から、なおかつ蛇足であろうと思いつつも書いてしまいますが、それだけにお子さんへの読み聞かせには十分ご注意いただきたいと思います。

子供の頃は、二度と読みたくないと思ったものですが、大人になった今、不思議な世界に連れて行ってくれるおばけが結構いやかなり好きですね。ふつうの生活、平常心では見られない世界を垣間見せてくれるかもしれないから。でも安心しているのはおそらくそんな世界は遠いところにある・・と思っているからでしょう。ラストのページ、寝ない子はオバケになって、オバケと手をつないで飛んでいくのですが、なんだか楽しそうに見えるのは私だけでしょうか。私は幼児の時分から寝付きが悪かったので、そう思いたかったのかもしれません。



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第9回 むしがすき

「いもむしけむし」 福音館書店 特装版は2003年
澤口たまみ/作・絵

 今回は澤口たまみさんの絵本を取り上げたいと思います。
子供の頃は、蚕でもカエルでもイソギンチャクでもなんでも突っつき回しました。バケツいっぱいにアマガエルを捕まえたり、カブト虫の幼虫を手のひらいっぱい掘り出したり、でんでん虫のカラをコレクションしたりしましたが、大人になった今はあまりというか全然触れたいとおもいません。絵本も虫がテーマだとちょっと敬遠しておりましたが、母の友という雑誌に澤口たまみさんのエッセイが掲載されておりました。自己紹介欄で「虫の弁護人」と書かれているのを見て”虫”の弁護人とは?と興味が湧き、「いもむしけむし」という絵本を手にとってみました。

 子供たちは虫に興味津々。毛虫は触っても大抵は大丈夫なのだそうですが、かゆくなったり刺されて痛い毛虫もいるそうで、そういう毛虫も紹介してくれています。しゃくとりむしはほぼ大丈夫なのだそう。手に乗せて観察してみましょう。小さな生き物たちへの愛情が込められています。大人になった今なぜ虫が苦手となったんだろう?と不思議です。こどもたちは、好奇心旺盛なのだなあとしみじみ感じます。
澤口たまみさんは、他にもたくさん虫や動物の本をかいていらっしゃいます。



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第8回 不器用な愛され熊

「どんくまさん」シリーズ 至光社 1967年から1997年
蔵富千鶴子/文 柿本幸造/絵

柿本幸造さんというと、まあるいフォルムのかわいいウサギのお話「どうぞのいす」が有名と思いますが、私はあえて言うなら、どんくまさんを思い出します。
失敗ばかりしてしまう熊、どんくまさんですが一生懸命で優しい彼を大好きになります。ケンタカクラではないですが私も不器用なもんですから、落ち込むどんくまさんに寄り添ってくれる仲間たちが慰めになりました。失敗つづきで落ち込んでばかりだろうに、それでもまっさらな子どものように優しいどんくまさん。そうありたいと大人のほうが共感を覚えるのかもしれません。

至光社の月刊絵本「こどものせかい」で、シリーズ27作もでているようです。みんなに愛されたのですね。(至光社サイトによると、ハードカバーの絵本として発行された作品は、21作のようです。)船乗りになろうと突然思いたってみたり(どんくまさん うみへいく)、飛行機を作って雨を降らそうとしたり(どんくまさん そらをとぶ)、らっぱをふいたり(どんくまさんのらっぱ)  ・・・結構活発なくまさんですよね。いろいろなどんくまさんの絵本が楽しめます。

絵本タイトル:どんくまさん/どんくまさん そらをとぶ/どんくまさんのらっぱ/どんくまさんのおてつだい/どんくまさんはえきちょう/じゃむ じゃむ どんくまさん/どんくまさんのクリスマス/しあわせなどんくまさん/どんくまさんはゆうびんやさん/どんくまさんのパン/どんくまさんにふゆがくる/どんくまさんのかわのたび/どんくまさんとおたんじょうび/どんくまさんみなみのしまへ/どんくまさん どーん どん/おもいっきり どんくまさん/どんくまさん ほめられる/どんくまさんはほっかりこ/どんくまさんのたからさがし/どんくまさん やったね/うーうー かんかん どんくまさん・・  (至光社サイトより)