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第9回 むしがすき

「いもむしけむし」 福音館書店 特装版は2003年
澤口たまみ/作・絵

 今回は澤口たまみさんの絵本を取り上げたいと思います。
子供の頃は、蚕でもカエルでもイソギンチャクでもなんでも突っつき回しました。バケツいっぱいにアマガエルを捕まえたり、カブト虫の幼虫を手のひらいっぱい掘り出したり、でんでん虫のカラをコレクションしたりしましたが、大人になった今はあまりというか全然触れたいとおもいません。絵本も虫がテーマだとちょっと敬遠しておりましたが、母の友という雑誌に澤口たまみさんのエッセイが掲載されておりました。自己紹介欄で「虫の弁護人」と書かれているのを見て”虫”の弁護人とは?と興味が湧き、「いもむしけむし」という絵本を手にとってみました。

 子供たちは虫に興味津々。毛虫は触っても大抵は大丈夫なのだそうですが、かゆくなったり刺されて痛い毛虫もいるそうで、そういう毛虫も紹介してくれています。しゃくとりむしはほぼ大丈夫なのだそう。手に乗せて観察してみましょう。小さな生き物たちへの愛情が込められています。大人になった今なぜ虫が苦手となったんだろう?と不思議です。こどもたちは、好奇心旺盛なのだなあとしみじみ感じます。
澤口たまみさんは、他にもたくさん虫や動物の本をかいていらっしゃいます。



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第4回 はたらくくるま

「のろまなローラー」 福音館書店 1979年
山本忠敬/作・絵

ブルドーザ、はしご車、ショベル、除雪車、ささら電車、などお仕事仕様の働く車って大きくてぶこつな感じがかっこいいと思います。のりもの絵本の第一人者の一人、山本忠敬さんの絵本をご紹介します。

ローラーくんはのんびり走っていますが、でこぼこの道をたいらにして他の車たちが走りやすいようにしているんです。ゆっくりゆっくりでも確実に仕事をこなしていくローラーくんを邪魔扱いする他の車たち。「どいたり どいたり」なんて言われてしまいます。(時代を感じさせる言葉です。)早いばかりが能じゃない。道を作るローラーくんの働きをば見よ!

1979年発行なので、走っている車たちや町並みが”昭和”なのですがそこもまた良く、描きこまれた風景を見るのも楽しい絵本です。
ちょっと仕事がのんびりな私は確実に着実に仕事するローラーくんに憧れます。尊敬する人誰?ってきかれたら「のろまなローラーくん」・・と答えられたらいいなーとおもっていますがちょっと気恥ずかしくて言えずにいます。

他の絵本作品は・・・
「とらっくとらっくとらっく」「しょうぼうじどうしゃじぷた」「とべ!ちいさいプロペラき」  他たくさん。
図鑑的読み物は・・・
「機関車・電車の歴史」蒸気機関車の発明から現代の電車になるまでの鉄道の歴史。子ども向けですが挿絵が美しく見応えあります! 姉妹シリーズに「飛行機の歴史」もあります。のりもの絵本の他に・・
「こうもり」こうもりの生態・暮らしがわかる!
「むかしのしょうぼう・いまのしょうぼう」江戸・明治・大正・昭和の消防活動や消防車の発達・歴史など分かりやすく絵で説明されています。



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第1回 猫の本

なちぐろ堂は、科学史関連の書籍の収集に力を入れております。店員の私は、「子どもの本」に興味がございます。
このブログでは、おもに絵本・児童文学のご紹介してまいります。一話一冊ピックアップの予定なのですが、しょっぱから規定破り3点のご紹介。「なちぐろ堂」という店名は猫からもらったものであることと、猫およびネコ科の生き物がとても好きなので、最初はやはり「ねこ本」を選書しました。よろしくどうぞおつきあいください。

「せいくんとねこ 」フレーベル館 30ページ
矢崎節夫/作 長新太/絵

魚をめぐる、”せいくん”と”ねこ”の攻防。両者、我こそが魚を食べるにふさわしいと 主張します。最後はせいくんに軍配が上がりますが、ねこに魚のあたまとしっぽをあげるせいくんの優しさがうれしい。気弱なだけかもしれませんが。長新太さんのカラフルなふにゃぁ〜っとした絵も楽しい。

「ネコのタクシー 」福音館書店 84ページ 2001年5月発行
南部和也/作 さとうあや/絵

 トムは速く走るのが特技のネコ。足を骨折して仕事が出来ない飼い主のランスさん(タクシー運転手さん)のかわりに、特技を生かし ネコ専用の小さなタクシーをはじめます。お母さんから教わった生きる知恵を、トムが時々思い出すところがとてもかわいらしいのです。母の言葉はすべて正しい、と鵜呑みにしていないところもおもしろくって好感がもてますね。絵本よりは文字多めなので、読むのなら小学低学年くらいからでしょうか。とても楽しい読み物です。「ネコのタクシー アフリカへ行く」という続きもでています。

「すてきなレインコート 」フレーベル館 34ページ
西村祐見子/作 松永禎郎/絵

 ぬいものがすきなおばあさんのおうちへ、猫のミケがぬいものを教えてほしい、と布をもってやってきました。それは見事なうすみどりの生地。ふしぎに ほんのり あまいかおりがするのです。このすてきな生地でミケは何をつくるのでしょうか。残念ながら、タイトルで何を作るかわかってしまうので ちょっとさびしいのですが、誰のために作ったのかわかると 心がほんわり温まる素敵な絵本。猫が主人公の絵本はたくさんありますが、不思議に素敵な生地の出てくるこの絵本が好きです。

手に入れやすいかどうかはお構いなしの選書です。ごめんなさい。
今後もねこ絵本に限らず、面白い絵本・児童書をご紹介していきたいと思っております。