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第20回 どどいつの 七五調の ノリのよさ

「ねこのどどいつあいうえお」 のら書店 2005年発行 94ページ
織田道代/作 スズキコージ/絵

「どどいつ」は七・七・七・五のリズムで作られた歌です。
楽しい言葉遊びの絵本をかいておられる詩人の織田道代さんが、どどいつで猫のきままさ、愛らしさを歌いあげます。
七五調のノリが楽しくて、声に出して読むとさらにいいと思います。酔っ払って読むとめちゃくちゃのってきます。最高です。

猫およびネコ科がすきな私は、この本はとってもど真ん中。
「盗み上手な まあるい足で またも心を 盗む猫」 足音をたてない ピンクのかーわいい肉球で悩殺ですね。
猫のいいところ・わるいところ、すべて愛してる。そんな本です(だとおもいます)。
スズキコージ氏の挿し絵は、コラージュで素敵なのですが、かなり個性強くて独特なブキカワさ。孤高な猫の不思議さにぴったりあってる気がします。好きです。
姉妹編の「どうぶつどどいつ おもしろことばあいうえお(2003年発行 長新太/絵)」いろいろな動物を主人公にどどいつで表現しているこちらも面白いです。

 他作品に・・
「なにもなくても 〜ことばあそび絵本」こちらも言葉遊びの絵本。おもちゃがないから遊べない、なんてことはありません。ものづくし/ぬきことば/たぬきのしっぽ/かわりしりとり・あたまとり/さかだちことば/声・音・様子ことば/なぞなぞ/電報・・などたくさんの言葉遊びが掲載。親子で、友達同士で、あるいはご夫婦で。



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第17回 図書館にライオン。走ってはいけません!

今回は、マナーについて考えてみよう、の本です。

「としょかんライオン」  41ページ 岩崎書店 2007年4月発行
ミシェル・ヌードセン/作 ケビン・ホークス/絵 福本友美子/訳

私はネコ科の生き物が好きなので、ライオンと女の子が一緒に絵本を読んでいる表紙イラストに、すでにノックアウトです。いい表紙ですね~。

なぜかライオンが図書館にあらわれます。肉食獣たるライオンが捕食活動を行わないことに、読んでいて面食らいます。そもそもライオンが町中にいることに違和感がありますが、まあ読み続けてみましょう。
どうも、このライオン、絵本を読んでもらいたい様子。もっと読んで!と大声でうなってアピール。司書のマクビーさんは、追っ払おうとしますが、メリウェザー館長は、図書館のきまり 1.大声をだしてはいけません 2.走ってはいけません  このルールをまもるなら、別にいてもいんじゃない?と寛容な態度。次の日も早くからやってきて、ライオンは館長の仕事を手伝います。しっぽではたき掛けしたり、高いところにある本を取るための台になったり、読書中の子どもたちのソファになったり(私もそこにまざりたい・・)、本を運んだり、館長さんの封筒貼りをお手伝いしたり。絵本が大好きなライオンの献身的な様子に、もう可愛くてたまらなくなってきます。ネコ科のいきもの、バンザイ!
そして事件が起こり、ライオンくんは図書館に出入り禁止になってしまうのですが、閉館した図書館の前で雨にぬれ、悲しそうに佇むライオンが切なくて可愛くて、もうたまりません。うちに来いや!ってタテガミを引っ張りたくなります。
さあ、ライオンくんはどうなるんでしょうか、どうするんでしょうか。続きは、絵本をごらんください・・・・・
ライオンとメリウェザー館長さんの心の通じ合いに、何度読んでも目がうるんでしまう絵本です。



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第1回 猫の本

なちぐろ堂は、科学史関連の書籍の収集に力を入れております。店員の私は、「子どもの本」に興味がございます。
このブログでは、おもに絵本・児童文学のご紹介してまいります。一話一冊ピックアップの予定なのですが、しょっぱから規定破り3点のご紹介。「なちぐろ堂」という店名は猫からもらったものであることと、猫およびネコ科の生き物がとても好きなので、最初はやはり「ねこ本」を選書しました。よろしくどうぞおつきあいください。

「せいくんとねこ 」フレーベル館 30ページ
矢崎節夫/作 長新太/絵

魚をめぐる、”せいくん”と”ねこ”の攻防。両者、我こそが魚を食べるにふさわしいと 主張します。最後はせいくんに軍配が上がりますが、ねこに魚のあたまとしっぽをあげるせいくんの優しさがうれしい。気弱なだけかもしれませんが。長新太さんのカラフルなふにゃぁ〜っとした絵も楽しい。

「ネコのタクシー 」福音館書店 84ページ 2001年5月発行
南部和也/作 さとうあや/絵

 トムは速く走るのが特技のネコ。足を骨折して仕事が出来ない飼い主のランスさん(タクシー運転手さん)のかわりに、特技を生かし ネコ専用の小さなタクシーをはじめます。お母さんから教わった生きる知恵を、トムが時々思い出すところがとてもかわいらしいのです。母の言葉はすべて正しい、と鵜呑みにしていないところもおもしろくって好感がもてますね。絵本よりは文字多めなので、読むのなら小学低学年くらいからでしょうか。とても楽しい読み物です。「ネコのタクシー アフリカへ行く」という続きもでています。

「すてきなレインコート 」フレーベル館 34ページ
西村祐見子/作 松永禎郎/絵

 ぬいものがすきなおばあさんのおうちへ、猫のミケがぬいものを教えてほしい、と布をもってやってきました。それは見事なうすみどりの生地。ふしぎに ほんのり あまいかおりがするのです。このすてきな生地でミケは何をつくるのでしょうか。残念ながら、タイトルで何を作るかわかってしまうので ちょっとさびしいのですが、誰のために作ったのかわかると 心がほんわり温まる素敵な絵本。猫が主人公の絵本はたくさんありますが、不思議に素敵な生地の出てくるこの絵本が好きです。

手に入れやすいかどうかはお構いなしの選書です。ごめんなさい。
今後もねこ絵本に限らず、面白い絵本・児童書をご紹介していきたいと思っております。