「がっこうへの みちのりは、ひかりと かげと おとの ジャングル。」
「パパはたいちょうさん わたしはガイドさん」 PHP研究所 2024年1月発行 33ページ
ゴンサロ・モウレ/作 マリア・ヒロン/絵 星野由美/訳
こちら、スペイン・バレンシアの絵本です。
「わたしの めは かすかに みえるけれど、パパの めは みえない。」
娘を小学校へ送っていくために、手をつないでふたりで歩いていきます。
道を行く車や人や動物をカラフルに描いていて楽しく美しいです。
聞こえる音を想像で補っているのでしょうね。あちこちに描かれた水色やピンクのかわいい子猿たちが印象的です。
ローラースケートをはいたダチョウ、スポーツカーにのっているインパラなど草食動物は、お友だちなのかな?対してジャガー・ライオン・ワニなどの獰猛そうな動物たちは、車やバイクなのでしょうか。登場する車は、フィアット社のパンダ、ジャガー社のジャガーE-type、セアト社のレオン、フォルクスワーゲン社のビートル、ゼネラルモーターズ社のシボレー・インパラ、フォード車のマスタングです。クラシックな装いの車がすごくかっこいいのです!
ちょっと気持ち悪いですがカラフルな食中植物も描きこまれており、ふしぎ面白いです。
学校へ歩いていくとちゅう、パパは言います。「『いま とおりすぎた おとこのひと、かなしそうだね』」歩く歩調や足音でわかるのでしょうか。
「そう、パパは ほかのひとが みていないものを みてる。『きょうは うみがきれいだ』パパが そういうだけで わたしの こころのなかにも、うみが みえるんだよ。あの なつのひの なみは、 くすぐったかったな。」
学校へ出かける前に、「アイパッチは?」とパパにきかれる場面がありなんだろう?と調べましたところ、アイパッチは貼るタイプの眼帯、耳ひもがないのが特徴で子どもの弱視治療に使用されるそうです。
ゴンサロ・モウレさんはスペインのジャーナリスト・作家さん。他に邦訳されている作品がないかと調べたのですが、ないもよう。他にも子どもの権利等をテーマにした児童文学・YAの作品があります。邦訳されればよいのですが!!!!
「パパは わたしのことを、『ぼくの ガイドさん』っていう。
わたしは すこし みえるから。
でも パパこそ ほんとうは
たよれる『わたしの たいちょうさん』。」
娘と父がお互いを想いあう気持ちが伝わります。とてもとてもすてきな絵本です。