とても静かで胸に迫る絵本です。

「このまちのどこかで(評論社の児童図書館・絵本の部屋)」 評論社 2021年1月発行 40ページ
シドニー・スミス/作 せなあいこ/訳
原著「SMALL IN THE CITY」 Sydney Smith 2019年

少年がバスで街へ。タクシーのクラクション、工事する大きな音、あちこちで鳴りひびくサイレン。大きな街は騒がしくて、どきどきする。
少年は「小さなもの」へ語りかけながら街を歩き回ります。
安全で暖かく過ごせそうな場所、おいしいものを食べられそうなところや親切な人がいるところ、反対に暗い道や犬がいて危険な庭など近づかないほうがいいところなど助けになりそうなことを教えてあげています。
無事を祈る少年の思いが誰への言葉かわからず、少し不安をあおります。ちょっと我慢してページをめくっていきます。
日暮れが近づき、雪が強く降りはじめとても寒そう。少年の焦燥感、孤独感が伝わってきます。けれど、きっと無事でいるという希望をもっています。「しんじてる。きみはきっとだいじょうぶ。」少年の言葉に胸がはりさけそう。愛するものへの気持ちがつたわってきます。
物語の終わり近く、少年が吹雪く街を歩き回る理由や願いがわかった時、じんわりと胸にせまります。
少年は、迷い猫をさがしていたんですね。
最後のページにはほっとします。そうでなくちゃあ。
挿絵もきれいです。最初のページ、少年がバスから見る光景が見開きで4コマ、映画のよう。素敵です。とても静かにせまりくる絵本なので対象年齢はやや高めと感じます。

作者のシドニー・スミスさんが挿絵をつけた絵本も素敵です。
「おはなをあげる(ジョナルノ・ローソン作)」「うみべのまちで(ジョアン・スウォーツ作)」「スムート かたやぶりなかげのおはなし(ミシェル・クエヴァス作)」
があります。