「エルネスト  たびする いぬの ものがたり」 フレーベル館 2009年8月発行 24ページ
ヨッヘン・シュトゥーアマン/作、文 関口裕昭/訳
原著「Ernesto -Eine lange Reise auf kurzen Beinen-」 Jochen Stuhrmann 2006年

表紙の3つも浮き輪をつけた犬、エルネストが主人公です。旅する犬の物語です。
生まれ育った自分の街が大好きな犬のエルネスト。月曜から日曜日まで、毎日毎日、同じリズムで決まった通りに生活してきました。決まった毎日を繰り返す満たされている毎日。
ある日、絵葉書がおうちに届いたのです。外国から、しかも見たこともない文字でかかれた絵葉書。写真の島の景色もまったく見知らぬ場所。彼に葉書を送ってくれそうなひとに心当たりはありません。いったい誰が送ってきたのだろう。好奇心が彼を突き動かします。
どこから来たものなのか、あちらこちらといろんな動物にたずねて歩き、なんと外国へ出発。彼の行動力にはおそれいります。
結局、絵葉書は間違って届けられたものと判明。本来受け取るべきひとへと手渡すことができ、ほっとしたエルネストですが・・・。初めて受け取った絵葉書が、自分宛ではなかったことが悲しくなってしまったのです。やや無表情にかかれたエルネストですが目を伏せた悲しげな表情が胸を刺します。(抱きしめてやりたい。)
長い旅から戻り、自分の家の前にあるものを見たときのエルネストの顔が楽しいです。
いつもと同じ生活に満足していたつもりですが、思い切って住み慣れた街を飛び出し冒険してみたら、たくさんの出会いがありました。ちょっと勇気がいりますが一歩踏み出してみると新しい楽しみを見つけることができたのです。

作者のヨッヘン・シュトゥーアマンの挿絵は、なんだか不思議な味わいがあります。油絵のように色を重ねて塗っています。木彫りのようにやや角張っているなかにも曲線が組み合わさって、なんともかわいい造形です。
エルネスト以外にも、ネズミ・カンガルー・ゴリラ・モグラ・アナグマ・ペンギン・イグアナ・・などなど動物たちがたくさん登場しますがたいてい二足歩行で服も着ています。ただエルネストだけは犬らしく4本足で駆け回っているんですよね。なんででしょうね?扉絵の長い耳をだらりと伸ばして伏せたエルネストはこれほんとかわいいですね。
動物たちはみな個性的で、街や部屋の中の椅子やポスターなどの小道具なども描きこまれていてながめていると楽しいです。わたしは特に刺青のたくさん入った関西弁の口下手なセイウチが好みでした。
あとひとつ不明なのは、エルネストのお隣さん(全体が緑色でまゆげ太く目が大きい)は、なんの生き物なのかしら。

シュトゥーアマンさんの他の邦訳された書籍は
「ニコとねずみのすてきなせかい」「せかいいっしゅうビッグラリー」「はだかのサイ」