「セクター7」 BL出版 2000年11月発行 48ページ
デイヴィッド・ウィーズナー/作
マンハッタンのエンパイアステートビルに社会見学にやってきた少年。展望台で雲の子どもと出会い仲良くなった。そして雲の子と空の旅へ。着いたところは「セクター7」。そこでは、雲たちがどんなかたちの雲になるか(積乱雲とか巻層雲とか)、指示する場所のよう。
絵のみで文章のない絵本ですが、少年や雲たちの表情や仕草で、何が言いたいかわかります。
雲たちは、どうもただの雲っぽいかたちがつまらないと感じていて、絵の上手な少年に素敵な魚の絵(カサゴのようなトゲある魚やフグ、タコも!)を描いてもらって、それに変身します。
社会見学を終え、ビルからでてきた子供たち。空を見上げると、美しい魚の雲が浮かんでいます。
豊かな想像力でよく考えられ描き込まれてます。「セクター7」の存在も不思議。大きなプロペラのようなものがくっついたお城のような造形がまた素敵でワクワクします。空に浮かぶ島の某アニメを思い出しました。施設内の様子も面白いのです。「ARRIVALS」と「DEPARTURES」という駅の発着時間お知らせ板のようなもの(レトロさがかっこいい!)や、「ASSIGNMENT STATION」という雲たちにどのような形の雲になるかを指示するらしき詰め所もあって、1ページ1ページよ〜く眺めているとワクワクします。ターミナルの長い長い石の階段が好きだなあ。雲は浮いてるので使わないでしょーけど、海外の重々しい石造り建築で素敵です。ちょっと登ってみたくなる。
人間の少年と雲の子の友情にも心温まります。ふくらむ空想がとても楽しい絵本。空を見上げると、いろんな魚の雲が浮いていたら、楽しいでしょうねえ。天気の良い日に空を眺めながらぼーっとしたくなります。