小学6年女子のちょっと複雑な人間関係や、虫好き女子の孤独な気持ち、男子のちょっとエッチ発言、褒めたつもりが逆に相手を傷つけてしまうこと、体のこと、教室でよばれるニックネームのこと。いろんなことが起こる小学6年2組の一年間のおはなしです。

「ゆかいな床井くん」 講談社 2018年12月発行 185ページ
戸森しるこ/著者 早川世詩男/画

主人公は、三ヶ田 暦(みけた こよみ)、小学6年生の女の子。
床井 歴(とこい れき)、同じクラスの男の子。
主人公の暦は、クラス内の人間模様を観察するのが好きらしい。波風を立たせないように気遣いをしてちょっと考えすぎてしまう、そんな女の子です。「みけたこよみ」だから暦をミケと呼ぶ床井くん。ボケというか言い間違い?が多いが、素直で明るくて人の気持ちを汲み取るのがじょうずな少年。ゆかいな床井くんのテンポ良い会話が読んでいてとても楽しいです。

床井くんは、クラス内で起こる事件や対立が起きそうなことを言ってしまったクラスメイトの気持ちをうまくくみ取ります。なぜそんな発言をしたのかその人の気持ちになって、胸の内を察する優しい子です。
暦は、ちょっと考え込みすぎな女の子ですが、床井くんのおおらかで楽しい発言や考え方にやすらいでいます。床井くんの言葉を素直に受けとる暦もなかなか素敵とおもいます。

人によって捉え方や感じ方が違うことを気づかせてくれる床井くんはほんと優秀。小学6年生とはちょっと思えない気遣いや思いやりがすごい。けれどそんな床井くんも涙することがあるんです。「明日からどうやって生きていけばいいんだろう」と、給食の時間にぽろぽろと涙をながしはじめる床井くん。その理由に泣き笑いしてしまいました。給食を食べながら思いをはせる子どもたち、良いクラスですね。

「ミケが笑った。今日はきっといいことがあるな」そんなことをさらりと言う床井くん。それは惚れちゃいますよねえ~。
暦の床井くんを好きだという気持ちも、爽やかで胸キュンで良いですね。戸森しるこさん、ずっと追いかけたい作者さんです。みなさまもよろしければお手にとってみてください。

著者の戸森しるこさんは、他著書に
「ぼくたちのリアル」幼馴染でクラスの人気者の璃在(リアル)、リアルと比較され自信を持てない渡(ワタル)、そして美形男子の転校生サジ、それぞれの悩みをみんなで乗り越えていく。著者のデビュー作、こちらも面白かったです。
「十一月のマーブル」「理科準備室のヴィーナス」「レインボールームのエマ(おしごとのおはなし スクールカウンセラー)」「ぼくの、ミギ」 などがあります。